新たに開発された「リラティビティ・フリップリアクティブ」はパール配合カバーストックでありながら、オイルの中でのキャッチ力を強化するともにドライゾーンでのレスポンスを最大限に発揮し、急激なバックエンドでのフリップモーションを引き出すことに成功しました。
第57回
2015年12月29日更新
こんにちは。プロボウラーの
逸見正晃です。今年のトリを飾るボールは、
ブランズウィックと言えば、やはりマスターマインド™でしょう。現在のラインナップでも主軸を担う重要なボールシリーズにまで成長いたしました。
なんといっても、今夏発売のボール達の中でも際立つ人気を獲得し、入手が困難な現状でも問合せが絶えない
マスターマインド™・アインシュタイン(以下、アインシュタイン)の次回作ですから注目されているのも頷けます。
シリーズ最新作「マスターマインド™・ブレイニアック」(以下、ブレイニアック)にも勿論採用されているのは新素材カバーストック。今回はどのようなパフォーマンスを示してくれるのでしょうか。2015年最後のレビューとなります。今回も最後までお付き合いの程、何卒宜しくお願いいたします。
それでは、第58回
ストライクレビュー「ブレイニアック」編をどうぞ!
65°
×
4
×
50°・薬指穴内にピンを配置
60°
×
5
×
40°・中指寄りピンアップセンターバランスホール無し
博多スターレーン(ウッドレーン)
42フィートのクラウンコンディション
30.6
ml
カストディアンプラス
42°
ちょうど2年前に誕生したのが
初代のマスターマインド™です。当時、
ブランズウィックのハイパフォーマンスボールと言えば、ともに名器であるオーラ™、ネクサス™が主力でした。
ブランズウィック・ボールで「最もパワフルに動く」という使命を与えられ誕生したこともあり「オーナーロール・ソリッドリアクティブ」カバーと「マスターマインド・ウルトラ低・RG・コア」の組み合わせは確かな手ごたえを感じたことを覚えています。
この数年で
ブランズウィック・グループの開発力は格段に進歩し、それに伴って新たな戦力となるボールが数多く開発されてきました。
先日発売された
ブランズウィック最高クラス・
ニルバーナ™も発表され、更に勢いを増したと言えるでしょう。
新素材カバーを搭載した3種(
アインシュタイン、
バンダル™、
サグ™・コラプト)のボールリリースで「変化」を体感していただいていると思いますが、
その中でも
アインシュタインの人気は今でも衰えずに第3便の追加販売ですら全く足らず、問合せを多数いただく程の人気ボールにまでなりました。
当然、最新作「ブレイニアック」にはその
前作をも超えるスペックを求め開発・製造された上でのリリースに至ったわけです。
カバーストックには、新素材を改良したパール系の「リラティビティ・フリップリアクティブ」を新たに採用、コアは
前作のアインシュタインから比重変更された
「マスターマインド・低・RG・コア」をそのままに使用いたしました。
今回のコンセプトは、シリーズ一の強烈なバックエンドリアクションと、そこから生まれる爆発的なピンアクションであり、非常に攻撃的なフックモーションが特徴となっています。
従って、大きく入射角度を生み出すことを容易とし、薄めでも当たり負けしない強さは抜群の出来栄えとなり、ボールを動かすのが苦手なボウラーでも幅広いストライクゾーンを得易いのは大きなポイントです。
私が投げてみた印象として、コア比重を扱った
アインシュタイン以降、コアの強さからくる減速感は無くなり、パールカバーとなった今作ではむしろ気持ち良い程度にスキッドエリアが確保され、その分ドライゾーンから一気に曲がり込むようになりました。
パールカバーのシリーズ品としては
マスターマインド™・スカラー(以下、スカラー)がありますが、比較すると手前からの反応は
スカラーの方が早く、全体の曲りもコンパクトに感じました。
当時ではしっかり動く球だという認識でしたが、改めて比べてみると、曲り幅は
アインシュタインや「ブレイニアック」の方がかなり強く体感できます。
ピン側での曲りがはっきりしている場面で
スカラーは使えると効果的に扱えて有能なのは言うまでもありませんが、シリーズものでもこれだけ顔色を変化させられるのはカバーストックの幅広さで間違いないでしょう。
そして、投球ラインのイメージでは薄いところを真っ直ぐ攻めるような感覚ではなく、レーンを斜めに見立てて大きく戻すようなラインでも楽に投球をすることができます。
ゲームが進行するにつれて、段々とオイルが残っている側へと速やかにアジャストしていくことで角度不足になりがちなインサイドアングルからでも素晴らしいピンアクションを提供してくれるはずです。
特記しておくと、ファーストインパクト時にポケットに浅く当たったような印象を持ったにしても、結果としてボールはピンヒットしてからも強く傾き、コーナーピンを弾き倒してくれるような期待を抱かせてくれる程にピン飛びへの信頼は高く仕上がっています。
表面の仕上げは、#500
マイクロパッド→
ロイヤルコンパウンドとなっており、ツヤ感は十分に感じられる程度の向上仕上げです。
手前の走り感を増加させたスペックですので、オイルに過敏な印象を持った場合には、#1500
〜
#3000などでツヤを落としてあげると、オイル上でのグリップ感は増しロングフックボールに加工することも可能です。
あまり粗い番手で仕上げるとせっかくの手前のスムーズなスキッドを邪魔してしまいバックエンドでの曲りが緩くなってしまうので、好みの形状に合わせて調整されると良いかと思います。
今回のドリルレイアウトは
「65°×
4×
50°」の薬指穴の中にピン配置というレイアウトを使用しています。
これまでのマスターマインド™の中では一番動き出しを早め、私的には曲り易くというコンセプトにてドリルした次第です。結果として、走り過ぎずメリハリの利いたバックエンドリアクションを堪能できているのですが、
スピードがあまり無いタイプは、PIN
-
PAP間を「4・1
/
2
〜
5・1
/
4」などにするとスキッド&スナップリアクションを体感できるはずです。
より影響を与えるには表面仕上げとの相乗効果を求めていただくと、かなり幅の広い調節までが可能となります。
比較投球では、
前作のアインシュタインとの比較を試みました。曲り幅やバックエンドでの曲りのキツさでは「ブレイニアック」がかなり鋭角なパフォーマンスを見せてくれるので、
ハイブリッドカバーでオイル上での安定した軌道と優れたバックエンドリアクションをもつ
アインシュタインよりも3枚程度内側から投球軌道を横切ってしまっても戻らせることができました。
ミッドエリアでのキャッチ力では
アインシュタインの方がより強くブレーキがかかっている感覚を受け、今作はより先まで通過していきます。
キャリーダウンしつつある状況下においてコントロール重視で攻める場合の安定感という意味合いでは、プロスタッフの使用率もかなり高い
アインシュタインはとても優れており、ピンアクションの良い球を効率良くポケットに集めるという欲求に対して見事に応えたボールだと思います。
「ブレイニアック」は荒れたコンディションよりは板目を使用してもハッキリと戻る場面での利用が良さを最大限感じられる環境でしょう。これほどに出し戻しのラインを投球してもピンアクションが苦にならないボールは貴重で、シャープなボールリアクションを好むボウラーにとっては正しく適したボールと言えます。
ブランズウィックの評価を飛躍的に引き上げた立役者・
アインシュタインの次作品として誕生した新生「ブレイニアック」。シリーズ最大のエントリーアングルを持つアグレッシブボールとして今、レーンに登場いたします。
2015年のラストを飾るにふさわしいビッグタイトルボールを是非、お求めください。
今年も一年間、拙い文面にお付き合い下さり、誠に有難うございました。また、来年もサンブリッジならびに、我々プロスタッフをどうぞ宜しくお願いいたします。それでは、また次回の
レビューでお会いしましょう!
執筆後記
今期の
ブランズウィック・ボールの中でも最高の評価を得た
アインシュタインから、更なるバージョンアップを目指し誕生しました。この「ブレイニアック」はシリーズ最大のバックエンドリアクションで貴方をきっと魅了してくれます!
今回のドリルレイアウト
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